「ヨコハマ文芸」感想と質問



カテゴリ:[ なんでもフリートーク ]


44件の内、新着の記事から10件ずつ表示します。


[47] 感想と質問

投稿者: 加納八郎 投稿日:2021年 9月16日(木)12時27分18秒 h175-177-040-181.catv02.itscom.jp  通報   返信・引用

   第6号を読んで

 まず、投稿された皆さんに、心から敬意を表したいと思います。どの作品も、作者の熱意と努力と希望と祈りが感じられて、圧倒されます。文学者は決して嘘や阿りは書かない。真善美の追究にこそ命をかける、そこにこそ文学の樹つ基盤があると思います。利や名誉、権力を追い求める政治家との違いです。敬意を表する形として、思い付きながら、感想・質問をしてみたいと思います。小説部門を中心に印象の強いものだけを取り上げます。

 『お嫁さんが転んだ(2)』(作者名は省略)。健康な家庭の蹉跌というべきか、こんな上流家庭にも転がり込む泥石はある、それを洗えばいいのだが、その洗い方が分からない。抑えて書いていて、着実豊満であり、教訓もあるが、ただ、「鬼嫁」という決めつけは如何なものか。それでは洗う手がちじこまってしまう。嫁離れ、息子離れがこの際、正解かもしれない。自存自営、独立させることに希望があると読んだ。それでも親心は複雑なんだよね。分かる、わかる。こんなこと書けるのが小説の醍醐味!

 『秋、実の一歩』。地味ながら、明るい、元気の出る、希望の湧く話である。さらに、建設的、理知的で、愛の漂う話で素晴らしい、の一語に尽きる。こういう話をもっと、もっと書いてほしい。

 『夜を齧る』。一読ではイメージが掴めなかった。二度読んで、「歯舌」という言葉の意味を知って、カフカやカミユの世界を連想した。そういう連想は不要なことかとも思うので、どこからこの作品の発想、モチーフがあったのか、語れるならば語ってほしい。この作者の新境地を示す作品かも知れない。歯舌が「あたし」の心身にどういう化学反応を及ぼしたのか、書けるなら、もう少し筆を進めて欲しかった。質問をよろしく。

 『永遠の一瞬』。題材がよく、作者の熱情がこもった作品で、感動したが、もう少し落ち着いて丁寧に書いたら、さらに良かったのではないかと思った。特に最初の部分。枚数に制限があるので止むを得ないのかも知れないが、そこが作者の腕のみせどころだろう。中編にしてさらに書き足して欲しい、と思う。この作者のお名前はhpに載っていないのかな。筆者の見損じか。

 『花火』。息子の嫁取りの話。「嫉妬」の言葉が利いて、少々ドキッとするが、短編にここまでうまくまとめていて、華をなしている。間違いなく傑作である。

 『闘鶏』。『抱卵』も注文して読んでみたが、現実と観念との合体の世界か、短歌の世界に俵万智嬢が殴り込みをかけて来たような感覚を覚える。作者堀氏に、このショートショートのジャンルの概念と成り立ちの歴史を教えて欲しい。よろしく。

 『下心センサー』。まず、題名が面白い。硬質で。知性の勝った作品とみた。私どもには近づけない、嫉妬みたいなものを感ずる。

 『窓のない部屋』。「誉められたことが無かったと言う巧美の言葉は、諒子にとってショックであった」という表現に、作者の人間愛と人道主義に徹する心意気がが感じられる。それで完結か。ご苦労さま。

 『御役目点綴』。平明で、気取りがなく、淡々としていて、奥が深い。現代の世相を映して余りある。我々が目指すべき創作の一つのモデルかも知れない。筆者もこういう作品を書いてみたい。いや、書けないか。

 『懐かしい顔』。懐かしく、美しい話で心が洗われる。作者の人柄なのか、それにも嫉妬を感じる。ただ一点、「・・・佳子さまいらっしょいますでしょうか」(145p)はどうしたのか。「佳子」をアサコと読ませるのか。校正ミスか。肝心なところだと思うのだが。しかし、素晴らしい作品である。質問→この小説の事実はどこまでか、全部か、語れるなら語ってほしい。

 『アードベックの娘』。これはもはやプロ級の作品。一読して感銘が深い。高踏にして深淵、雪菜の心模様が十分に描かれている。二,三点、気になるところがないではないが。

 最後に拙作『磯の香り』は編集部の強引な処断により、掲載されなかった。詳しくは「言いたい、聞きたい、論じたい」のページをご覧下さい。

 あと、「文学散歩」や『エッセー』や『近況心境』、その他、寸鉄人を刺す、いや、人をなでるものがあったり、教訓を含んだものや、ユーモアについ笑ってしまうもの、しんみりするもの、癒されるもの、経験と知性を感ずるものなど、いいものが沢山あるが、詳細は割愛させていただきます。ありがとうございました。どうぞ皆さん、よしなに。
      2021,9,16  加納、




[46] 紹介お礼

投稿者: 同人誌「琅」 投稿日:2021年 9月 9日(木)16時45分51秒 i220-220-228-211.s41.a014.ap.plala.or.jp  通報   返信・引用

この度は、貴重な雑誌に、わが同人誌をご紹介いただき、ありがとうございました。「ヨコハマ文藝」6号、確かに受け取りました。大勢の方が参集し、バラエティ豊かな内容に、ただただ感心・羨望するばかりです。
当方、少ない人数での運営なので、半年に一度の刊行となると、休み無しの執筆にならざるを得ず、編集・刊行・送付が済むと、すぐに次号に取り組まなければならず、もう少しゆとりが欲しいと思う昨今です。
御誌に取り上げていただいたことで、我が同人誌に目を向けてくれる人が増え、参加してくださる方がおいでになることを期待するばかりです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(松村茂治)



[45] よもやま話へ転記

投稿者: 山中直美 投稿日:2021年 8月 8日(日)17時22分15秒 p1962088-ipngn14901hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp  通報   返信・引用

宮原さま、薊さま、加納さまの書き込みに関しまして、会誌編集内部に関する記事でしたので、よもやま話へ転記いたしました。ご了承ください。



[41] 北村さま 山中さま

投稿者: 投稿日:2021年 5月 8日(土)21時34分35秒 KD118157149244.ppp-bb.dion.ne.jp  通報   返信・引用

北村さんのYouTubeを見ました。
山中さんのいうように、あっと言う間に全部見てしまいましたよ。
翻訳本は苦手と思って敬遠していましたが、読んでみたい本が増えました。
ありがとうございます。



[40] 北村浩子さんの講演動画

投稿者: 山中直美 投稿日:2021年 5月 4日(火)08時36分23秒 p626100-ipngn8101hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp  通報   返信・引用

先日、県立図書館が北村浩子さんの講演のYouTubeを配信してくれました。
コロナ禍の中、読みたくなる本に出会えます。
https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/yokohama/new-info/2021/04/291223-1.html

前回、ご紹介いただいた絵本「エリック」。手放せない1冊になりました。




[39] 北村浩子様へ

投稿者: 山中直美 投稿日:2021年 4月18日(日)10時16分3秒 p626100-ipngn8101hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp  通報   返信・引用

うわ~!早速のお返事、ありがとうございます!
本選びのプロの方に選んでいただくなんて、考えたら何と贅沢!
早速ショーンターンの本はポチッと買いました。
岸本佐知子さんが大好きなので、飛びつきました。
「戦国ベースボール」も奇抜な設定で面白そうです。
孫二人とも戦国時代の姫君に興味を持っていて、本を読んでいます。大河ドラマを見ていると「この姫ってガラシャなんだよね」とかいろいろ言ってきます。きっと「戦国ベースボール」も嵌ります。
ここだけではもったいないので、「ヨコハマ文芸」の誌上でもお願いしたいくらいです。



[38] Re: 北村浩子さんへ

投稿者: 北村浩子 投稿日:2021年 4月17日(土)16時53分2秒 M106073025226.v4.enabler.ne.jp  通報   返信・引用 > No.37[元記事へ]

山中様、ご質問の投稿ありがとうございます!
小学3年生のお孫さんなのですね。

わたしが以前、小学生に勧めて人気だった作品は『戦国ベースボール』シリーズです。

https://miraibunko.jp/series/257

天才野球少年が事故に遭い、夢の中でスカウトされて織田信長率いる野球チームで活躍する、というお話なのですが、戦国武将のキャラクターが面白くて笑いながら読みました。
気に入ったら続きもありますので、楽しみが長く続きます。
男子女子関係なく楽しんでいただけると思います(歴史の勉強にもなるかも?)

そして、最近の作品として、オーストラリアの作家、ショーン・タンの『エリック』をぜひおすすめしたいです。
これは絵本なのですが、子供っぽいということはありませんし、大人も楽しめます。

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309273587/

ショーン・タンは『アライバル』という、字のない絵本もあります。一見地味に見えますが、これもすばらしい一冊でした。絵を見てストーリーを想像するのですが、とても深い物語です。かわいらしい不思議な動物が登場します。

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309272269/

参考にしていただけましたら幸いです。



[37] 北村浩子さんへ

投稿者: 山中直美 投稿日:2021年 4月16日(金)22時05分29秒 p626100-ipngn8101hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp  通報   返信・引用

北村さんに教えてもらい事、いえ、書いてもらいたい事があります。
それは「孫に贈る本」の特集です。
誕生日のプレゼントや進級のお祝いに、「是非この一冊を」という本をお聞きしたいです。
年代別に、例えば幼稚園までの絵本特集とか
自分で字が読めるようになったら、とか。
冒険ものが好きな子に、とか。今まで読まれた来た名作は知っているのですが
それは、もう50年以上も前の事。それからいろいろな名作がさらに追加されているはず。
意外にそんなことを教えてくれる人は少なく
いつも「面白い本ない?」と孫にせがまれて小学3年の孫にこないだは「モモ」を
送ったら、「難しい」とまだ読んでいないようです。
マンガ好きになってくれてもいいのですが
鬼滅の刃だけではない世界も知って欲しくて、押しつけではない一冊を探しておりま
す。



[36] (無題)

投稿者: 加納八郎 投稿日:2021年 3月16日(火)21時18分30秒 h175-177-040-172.catv02.itscom.jp  通報   返信・引用

   温かくなりました。庭前の桜もあと数日で咲きそうです。

 『ヨコハマ文芸』の会員は、おとなしい人が多いのか、折角「感想と質問」のページがあっても、折山正武さんと中生加康夫さん以外は書く人がいない。私は強心臓を発揮して(本当は、心臓は弱い)書いてみたい。第5号を読んで、一週間あまりが過ぎたので、まだ印象に残っている作品だけに限らせていただきます。私の偏見と独断によるものなので、あまり深刻に考えないで頂きたい。私は読みながら、印象の強いものに〇をつけていきました。

 まず、敬服した作品はエッセーの「まり子ちゃんの子守唄」(作者名は省く)、「古都 奥州平泉」、「ハマのメリーさん列伝」、かながわ文学碑めぐりの「佐佐木信綱歌碑」、「尾崎士郎 文学碑と墓碑」、「徳富蘆花 不如帰の碑」の六点。いずれも写真と共に永久保存版にしたくなる労作である。これらの一作を読んだだけでも五〇〇円の価値はあると思う。

 あとはおまけだがその中にもいいものがある。小説の「忘れていたこと」。この作者は創刊号でもいいものを書いたが、ただ一点、気になる事がなくはない。娘との確執である。創刊号にもそれがあって、それが作品の肝でもあったのだが、男親にとって娘は最愛であるはずで、そこにどうリアリテイをつけるか、凡人には難解な箇所である。娘のステータスが高すぎるのか、それとも娘離れ、子離れを果たしてないのか、そのへんのところを精神病理的に、いや医学的に解説していただくと私のような者には勉強になる。「天田が現実と異なる思弁ばかり述べる度に、時限爆弾のタイマーが前に進んだ」(52p)の気持、私にもよく分かる。教育現場でよく発生する。この作者の作品に、酒は欠かせないか。感動場面を盛り上げるこの作者の手法に学びたい。

 そのほかに、小説で面白いと思ったのは「お嫁さんがころんだ」である。破天荒な(?)お嫁さんと物わかりの良すぎる(?)姑との結末はどうなるのか、次号が待たれる。海外生活の描写も楽しい。もっと入れて欲しい。

 次に「アイル・フォーロ-・ザ・サン」も力作だと思うし、ビートルズの音楽の力の偉大さも分かるが、ただ一点、作者の思い違いがあるので、デイサービスに通っている者として、異議を申しておきたい。作中にある「毎日見る入所者達の諦めきったような目の色とため息」(75p)、「人生を見限ってしまったような目をして」(76p)、「世の中から見捨てられたような寂しい不安は・・」(79p)、「何よりも、自分と入所の人達の諦めと不安の場所」(81p)等々あるが、それは作者の見識であって、入所者の気持ちではない。彼ら、彼女らは決して人生を諦めているのではなく、一日、一日元気に生きたい、少しでも楽しく生きたい、家族やまわりに迷惑を掛けたくない、そういう願望の表れとして、わざわざお金をかけてデイサービスに行っているのであり、介護施設に入っているのである。そこには整体施術や器械運動があり、歌を歌ったり、碁を打ったり、ダンスをしたり、お茶を飲んだり、何より人がいる、友人ができる。女性達は、休憩時間はひっきりなしに会話を楽しんでいる。活き活きしている。決して人生を諦めているのではない。
彼ら、彼女らも音楽は昔から好きであったし、不慣れなビートルズであっても楽しく聞けるのである。それが音楽の力であり、彼ら、彼女らの心の音楽を呼び覚ますのであって、楽しさはゼロから始まったのではなく、元々あるものを喚起されたのである。萎れかかった植木に水をかけるようなものだ。植木は生きる事を諦めているのではなく、いい空気や水を求めているのであって、生きる欲求は十分保っている。デイサービスのモットーは自分で出来ることは自分でしよう、であり、皆せっせとやっている。そこに喜びがあり、希望がある。デイサービスを卒業して、家で元気にやっている人もいる。私もこれまでは週二回であったが、いまは一回にしている。おそらく作者は五体満足で、重い病気などされた事がないのかも知れない。別に咎める訳ではない。作者の筆力は大したものだと思う。

 「八丈島慕情」も年季の入った優れた時代小説であると思うし、敬意を表するところであるが、導入部が簡単すぎないか。この作者の作品は毎回それを感じる。誰を対象に作品を書くのか。三浦しおんなどは導入部を繰りかえし繰りかえし、ゆっくり書いて、読者へのサービスだなと感じさせるし、今回直木賞の「心淋し川」も丁寧に書いている。「我が輩は猫である」と言えば猫を擬人化しているのだなとすぐ分かる。入りやすい。骨格となるもの、時と場所と主人公を読者に掴ませる努力がまず、必要ではないか。ミステリーものならいざ知らず、時代物はそれらをはじめにはっきりさせた方がいいのではないか、読者は作者の十分の一も予備知識はない。中身が重厚なだけに惜しいと感じている。失敬ないい方か。

 短編で凄い作品は「大震災の衝撃今なお」であろう。これも永久保存版である。あと、「イオマンテの夜」、「ダニーボーイ」、母の涙」、「五つのハーモニー」が面白いと思った。「母の涙」の作者には小説を書いてもらいたい。いい私小説が書けるのではないか。

 近況心境の秀作は「葉陰のばら」、「教官の涙」、「新しい生活様式」など美しい作品の数々である。何と「浮遊ミカン」は笑いが止まらないほどの傑作ではないか。まだまだ書いてほしい。そして、「明治のヨコハマ文芸」の調査能力に感激して、表紙絵に頭を垂れ、韻文では巻頭歌「核と故郷」の時機を得た秀作に驚き、「カヌレ売る店」に同類の涙を禁じ得なかった。俳句は「浮かれ猫」の“旅立つや菜の花レシピ忍ばせり”は涙もろい私の涙腺を刺激した。

 そして、最後に、自著紹介では「八十八年目の機嫌」を上げない訳にはいかない。「誰かが触った」よりも、「石のニンフ達」よりも数段優れている。芥川賞作家ここにありで、この作家の経験と知見が充満している。感激ひとしおであった。作者の創作の秘密も垣間見える。牧野薊氏の作品がないのは淋しい。お元気であられるか。

 此処に書かれた方は是非一言感想なり、反論なりをお願いしたい。時間とスペースがあればほかの作品にも触れたいのだが。書きすぎてもいけないね。
21,3,11 加納

 上の文を書いて、載せていいか、どうかためらっていた。自作を送った人から長短いろいろな感想があって、嬉しいやら、顔をしかめたいやらしたが、どんなことを言われても、反応がないよりはあった方がいい。そう思い返して載せることにする。物議を醸すかも知れないが、まあ、いいことにしよう。その方が、『ヨコハマ文芸』の発展のためにいいかも知れない。行き届かない文であるが、他意は無し。
    21/3/16 加納

 東雲哲哉氏の文章は今拝見した。感謝!



[35] 感じられる強い思い

投稿者: 東雲哲哉 投稿日:2021年 3月16日(火)15時57分47秒 KD124209165158.ppp-bb.dion.ne.jp  通報   返信・引用

 私は植竹編集委員の新聞社時代の同僚で、「ハマブン」を送ってもらっているのですが、号ごとに立派で重厚になり、充実していくのに驚かされています。書いている方たちの、書きたいとの思いが、そうさせているのだろうと思います。SNS時代になって、かえって手に持てる活字媒体への思いが強くなったといえるのでしょうか。
 そこで思うのですが、会員の方たちは年配者が多いと思われますが、若い人たちとのつながりはどうなんでしょうか。若者の新聞離れはもちろん、テレビ、自動車離れがいわれ、会社を離れて周囲に若者がいなくなった私には、若者の思いが何辺にあるのか見当つきません。テレビを見ていてもちょっと付いていけないと思わされ続けています。ハマブンで若者論をしてもらえれば、と勝手に思う次第です。
 5号では、やはり植ちゃん(こう呼ばせてもらいます)の「まり子ちゃんの子守唄」を真っ先に読みました。先号の「太陽の季節」論もよかったのですが、このエッセイは新聞記者らしい論考があり、また小説の趣もあって楽しめました。
 私は、小説には全く手が出なくなり、読むものといえば、時事的なもの、紀行、ドキュメンタリー、回顧録といったものになっています。今号でいえば取違さん、奥山さんの文です。取違さんとは、ほぼ同じころ記者生活を始めたと思いますが、そこに描かれている、戦後の臭いがまだプンプンとしている横浜の様子が、私がいた札幌と大きく違うのにびっくりしました。札幌はオリンピックがあり落ち着かされていたのかも知れませんが。
 奥山さんの映画の話も、映画好きにはたまりません。「ハマブン」に集まる人たちの幅広さを知らされもします。もちろん、巻頭の「大岡昇平『事件』」も大いに関心のあるところですが、楽しみは後でということで残しています。それよりも先に「新刊を読む」に目が行き、コロナの時節柄、桐本さんの本紹介で知った「長沢オリゴ」を買う気になりました。といった具合で、文芸音痴の私でも、結構、楽しめ、教えられること多々というところです。
 長くなったついでに、この本の裏の存在ともいえる感想欄で論議になっている、差別問題でひとこと。難し過ぎてすぐ答えの出るものではないと思いますが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」といった言葉を思います。差別される側の痛みを第一に考えるのは何よりも大事と思いますが、そのことに全く触れることが無くなればどうなるか、と考えざるを得ません。そこを上手く切り抜けるのが文学者の腕、あるいは文学者たるゆえんだ、といわれればお終いですが、そんなに簡単なものでしょうか。
 最近の国会の問答のひどさは目に余ります。個人情報保護法などができたこともあってか、何でもかんでも秘密にし、「答えを控えさせてもらいます」という答弁がまかり通っています。そこを突っ込めない野党がだらしないという論もありますが、差別の扱いと似ていて、それをやるには尋常でない能力、国語力が要るのではないでしょうか。
 「裏の存在」と書きましたが、「裏日本」が使われなくなったように、そのうち「裏」自体が使えなくなるかもしれませんね。差別表現問題は怖ろしく深いといえるのでしょうね。


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